2015.11.02

信州木造塾 建物見学会

群馬県にて、山辺先生が耐震改修に携わった木造建物を見学してまいりました。  

 

1件目は前橋市にある指定重要文化財「臨江閣別館」です。

明治43年創設。木造2階建ての入母屋造りで、簡素な造りの書院風建築物です。大河ドラマ「花燃ゆ」の舞台にもなっています。こちらは重要文化財の耐震補強設計に用いた事例として、これから施工される改修計画のご解説をいただきました。  

 

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  2階の180畳敷大広間です。 木造でこんなに広い空間を作り出せるなんて…しかも空間が広い分荷重も多くかかるので、その荷重を支える合掌尻(合掌組三角形の両隅部の事)が割れたりしてしまうのですが、しっかりとした工法を用いており、今もなおまったく割れ等が起こっておりません。その当時の大工さんを尊敬します。

しかし、この空間の北面は壁もあり柱も1間ずつ入っているのですが、南面はすべて開口となっており、柱も2間ずつ入っています。荷重を支えるものが少ないと柱の直下が沈んだり、大地震等の災害に耐えることができなくなってしまいます。 今回耐震改修を行うにあたって、まず地盤調査から始まり、実際使う建材の耐力試験や耐力計算など念入りに検査を行って、この建物に最適な補強案を導き出します。  

 

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  2件目は館林市にある「正田醤油本社屋」です。 こちらは構造補強が終了して、全長約100mと約60mの2つの蔵をオフィスへとリノベーションした建築物です。木の香りがぷんぷんです(´ω`)  

 

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  構造補強の一例として、いくつか紹介いたしましょう。

以前この蔵には線路がひいてあり、列車にお醤油を積んでそのままその場で出荷していたそうです。列車が通る為この蔵は大空間が必要でした。その為もともとあったものを切断してしまった柱が多数ありました。この柱を甦らせる為新材で根継ぎをして、あえて古材と新材の色合わせをしないことで、歴史の重みを活かす造りになっています。断面が細い登り梁には斜めに方杖をかけ、さらに鉄筋タイバーと呼ばれる部材を複合架構梁として補強を行っております。  

 

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  2件に共通することは「当時の大工さんの技術がすごい!」。

木造でこんなにも大空間がある建物が、100年以上も建ち続けている…当時の技術と考える、とても素晴らしいです。今日、長く住み続けられる長期優良住宅や、古い母屋のリノベーションなど、古いものを大切に長く残そうという試みが注目されていますね。

しなのいえ工房もそれをコンセプトの1つとして謳っています。これからの建築技術がさらに向上して、素敵な建物がたくさん生まれるように、私達建築人も日々精進していきたいです。

【むらまつ】