しなのいえ日記
気密測定
先日、新築現場で気密測定を実施致しましたので、今日は気密の話を少し。
高断熱高気密住宅。
このサイトにたどり着いた方はこのワードをご存じかもしれません。
健康で快適に暮らすには断熱・気密・換気がとても重要です。
三位一体。
どれが欠けてもいけません。
高断熱は文字通り、断熱性能が高いこと。
基本的には断熱材を分厚く入れましょう。
どんな種類の断熱材をどれくらい入れるのがいいのか、コスト(イニシャルコストとランニングコスト)と得られる環境を見比べて決めなければいけません。
この話はまた今度。
さて、高気密。
そもそも、どうして高気密が必要なんでしょうか。
高気密だと窒息する!とか、木材が呼吸できずに腐る!などという方がまだいらっしゃいますが・・・。
・・・・正しくありません。
高気密が必要な理由。
一つ 隙間風が入ってこないように。また熱が隙間から逃げないように。
二つ 湿気が壁の中に入らないように(気密と防湿を兼ねてます)。
三つ きちんと換気するために。
きちんと換気するために?
どういうことでしょう。
いつもおいしい空気で呼吸するには、新鮮な空気を入れたいところからきちんと入れて、出したいところからしっかり出すという換気計画が不可欠です。
そのためには、空気の出入り口以外の隙間をふさぐ(=高気密)必要があるのです。
ストローでコップのジュースを飲もうとしたとき、途中に穴が開いていたらうまく吸えませんよね。
じゃあ、それだけでいいのか?
ダメなんです。
換気扇の選定も大事です。
換気扇は主に下記2種類かと。
プロペラファン・・・扇風機みたいな羽根
シロッコファン・・・ドラムみたいな形。円柱状。
換気扇の種類によってジュースを吸う力、つまり空気を運ぶ力(静圧)が違うのです。
車のエンジンに例えるならトルク。
吸う力が弱ければ、ストローに穴が開いていなくても吸い上げられませんよね。
また、ストローが1mくらいあったら吸う力を強くしないと吸えないはずです。
この「吸う力」が強いのが、シロッコファン。弱いのはプロペラファン。
プロペラファンが各部屋についているおうちもありますが、回ってるだけで空気を運べていません。
つまり、においも消えにくいし、換気されないのでCO2濃度も上がり、結露の可能性も高まるということ。
・・・ということで、弊社では24時間換気の換気扇はシロッコファンが必須と考えています。
ここまで読んでいただくと、気密と換気は切っても切れない関係だということがお判りいただけると思います。
前置き終わり。
それでは気密測定について。
気密測定の仕組みですが、測定用の大きなファンで室内の空気を外へ出したときの室内気圧測定により行われます。
隙間が多い(低気密)住宅ではファンで排気しても隙間から外気が流入してくるので、室内の気圧に大きな変化はありません。スカスカな状態ですね。
それに比べ、高気密住宅は小さな隙間しかないので、排気すると室内側の気圧が低くなります。
この関係を利用して、「外に出した空気の量」「室内と外気との気圧差」を測ることで「隙間の面積」を計算することが出来ます。
気密測定の様子を動画に収めてみましたのでご覧ください。
■気密測定してみました
測定シートです。
C=0.5と良好でした。
C値(隙間相当面積)は隙間面積を実質延べ床面積で割ったものです。
一昔前は寒冷地では2.0以下にしなさいという指針がありましたが、現在はありません。
それではC値はどれくらいが適正なのでしょうか。
関係ない、1.0以下、0.5以下、0.3以下じゃないとダメなどいろいろな意見がありますが、私の理解では、C=1.0程度で高気密住宅という認識です。
1.0以下であれば大きな違いはありませんので、それ以上は気密性能にはこだわらずに断熱性能を上げていきましょう。