2019.03.30

リノベ徹底解説「稲田の家」

スタッフブログ

お子様の中学校入学に合わせて、一人暮らしのお父様との同居を決意された施主様。築40年のお住まいを徹底リフォームして、ご家族皆様が笑い合い、いつでも明るく過ごせるお住まいに生まれ変わります。

 

 

 

(1) 建物診断(インスペクション)

大きな工事でも小さな工事でも、まずは住宅の状態をしっかりと把握することから始めます。お住まいは千差万別。同じ時期に建てられた同じ木造のお住まいでも、住み方によって建物の劣化状態が全く変わってきますから、調査をしないことには、御見積も出来ませんし、プランもご提案できません。

 

 

 

外部は築40年ですから、それなりの劣化が進んでいる状態です。

外壁の金属サイディングは、穴が空くところまでは進んでいませんでしたが、サビが発生しておりました。

竪といも同様にサビが発生しています。白い軒天には雨染みの跡がありました。雨漏れが起きている可能性もありそうです。

 

屋根部分です。木製の破風・鼻隠しの塗装が剥げてしまっております。まだ腐ってはいないようですね。

竪とい同様、軒といもサビが発生しています。穴はまだ空いていませんがかなり薄くなっているようでした。

2階部分の屋根は瓦でした。当時は、防水の処理も完全ではありませんでしたので、今後も住み続けることを考えると何かしらの対応が必要になってくると思います。

 

内部は、洋室は木目の化粧シート(木ではない)で、和室はせんい壁で仕上げてありました。

化粧シートは拭き掃除が楽でいいのですが、なにかをぶつけたりして傷がついたりすると、とても目立ってしまいますよね。

 

せんい壁は、汚れや窓付近の雨染みがありましたが、ボロボロと落ちてくるほどの劣化ではありませんでした。床は斜めに傾いてしまっているようです。

(襖に懐かしいポスターが。。私の実家にもありますww)

 

 

住宅診断では、建物の外観や内観だけでなく、床下や小屋裏も見ます。

まずは床下。床下はこんな感じになっています。

床下では、 シロアリによる被害や、地面からの湿気による腐れがないか、キッチン等の配管からの水漏れがないかを確認します。

 

また、建物の構造を確認できるのも床下です。基礎や柱がどこにあって、建物をどのよう支えているのか。筋交いがどこにあるか。どのように固定されているか。全てくまなく確認します。

 

稲田の家は築40年。旧耐震基準である昭和56年以前に建てられた建物です。そのため耐震性能に不安があります。また、この時期の建物は、建築中に大工の判断で、図面とは異なる施工を行うことがよくあったので、図面がしっかり揃っていても診断の際にしっかりと確認する必要がありますね。(稲田の家では、3ヶ所ほど筋交いの位置や仕様が変わっているところがありました。)

上の写真の中に、筋交いが見えているのが分かりますでしょうか。写真中央のやや右、斜めに入っている木が筋交いです。(ちなみにその右が柱です)

これだけ見やすい状態は、とってもラッキーです!場合によっては板が張ってあって見えないことも。。そんなときには、僅かな隙間からドライバー等を差し込み、その先端の感触で筋交いがあるかどうかを確かめる必要があるので大変なんです。。

外壁の断熱材も見ることができました。断熱材は、1980年頃から住宅にも設置されるようになりましたが、当時はその施工方法についてあまり認知されておらず、「ただ入れるだけ。」という状態でした。そのため断熱材がせっかく入っているのに、その効果を発揮していない状態という建物がほとんどです。(床下から外壁の断熱材が見える状態というのも、実はNGです。)

床下には断熱材はありませんでした。

 

 

ちなみに、床下は高さが30cmくらいしかありませんから、床下での移動はほふく前進となります。その状態で調査をするわけですから、結構たいへんです。ちなみに汚れてもいいようにこんな防護服を来て調査します。

 (このオッサン、着こなしてるな~。ん~、かっこいい!)

 

 

次は小屋裏です。

ここでも床下同様、柱・筋交いの位置など構造の確認をします。

他には雨漏れによるシミがないか確認します。画面奥の方、分かりますでしょうか。雨染みが確認できました。

 

(2)  プランニング 打合せ

建物診断の内容をもとに、プランニングを行います。事前に施主様から、今後どのように住まわれたいかをお聞きし、それを反映させながらの作業となります。

診断の結果、工事をしても直せないような、構造上の重大な欠陥がある場合には、リフォームをお断りする場合もあります。これは、リフォームにせっかくお金を掛けて快適に過ごせるようになったとしても、安全に暮らすことができなければ意味がないという考えからです。多くの人は、一生の中で家づくりを何度もできるわけではありません。我々は、お客様の今後の人生を背負ってお仕事をしているわけですから当然のことですね。

 

さて、稲田の家では、耐震シミュレーション、温熱環境シミュレーションの結果から、以下のリフォーム工事を行うことになりました。

  <1. 耐震工事>

  <2. 断熱工事>

  <3. 屋根工事>

  <4. 外壁工事>

  <5. 2階及びLDKの改装工事>

 

これらの工事を行うことより、

建築基準法上の一般的な新築住宅よりも地震に強く、省エネ性能の高い、

安全で快適な住まいに生まれ変わります。

※具体的なデータで申しますと、

  耐震性能:上部構造評点 0.42 → 1.15 (一般的な新築住宅は約1.0)

  省エネ性能:Ua値 2.45 → 0.33 (一般的な新築住宅の目標値は0.75)

 

 

(3) リフォーム工事

さてここからは、いよいよ工事となります。

 

<1. 耐震工事>

耐震シミュレーションの結果、外壁を全て剥がし、柱や筋交いなどの接合部分の補強と、外周全面に構造用合板を張ることにしました。

 

外壁を剥がすと、柱や筋交いが見えてきます。地震による揺れが起きたとき、住宅が倒壊しないように筋交いが支えとなってくれることは皆さんご存知の通りです。実はそのとき、柱には、土台や梁から抜けるように作用する力が働きます。この力により柱がスポッと抜けてしまうと、住宅は簡単に倒壊してしまいます。

そのため、柱が抜けないよう、柱や筋交いのつなぎ目部分を「接合金物」により補強する必要があります。

現状は「かすがい」というコの字型の釘のようなもので柱と筋交いが固定されていました。しかし、「かすがい」は地震のような大きな力に耐えることはできませんし。そもそも柱がしっかりと固定されておらず、これでは簡単に倒壊してしまいます。

 

別の場所ですが、「接合金物」を取り付けた後の状態です。何本ものビスで固定しますので、がっちり固定されていますね。

このように金物をどんどんつけていきます。隅柱(建物の角の柱)は、1階と2階の柱が一体となるように大きな接合金物を取付けます。

 

接合部分の補強ができたら、その上に構造用合板を張っていきます。

外周全面に張ることで、建物の耐震性能がグンと上がります。

 

<2. 断熱工事>

断熱工事は、耐震工事のやり方に合わせて、臨機応変に手法を変えます。特に壁の断熱工事は、それだけで考えると高コストになってしまいがちです。耐震工事や水廻りリフォーム(特に浴室)の「ついでに」やるようにすることが大事です。

※本当は、年中快適に過ごせるようになる断熱工事は、水廻りリフォームよりも、とってもおすすめな工事なんですが、中々お金をかけづらいようで。。寒い冬でも暑い夏でも、年中春のように過ごせる家ってすごい魅力的なんですけどね。

 

稲田の家では、下のように工事を行います。

断熱工事箇所工事前工事後
■床断熱材なしグラスウール吹込135ミリ
■壁グラスウール50ミリ付加断熱(グラスウール50ミリ(既存再利用) + 高性能グラスウール120ミリ)
■天井断熱材あったりなかったりグラスウール吹込400ミリ
■窓アルミ枠シングルガラス樹脂枠トリプルガラス
■玄関ドアアルミ2枚引違い戸高断熱開きドア

はい。フルスペックです!!

ちなみに壁の断熱材で既存のグラスウールを再利用するのは、内部結露(壁の中での結露)を防止するためです。今回の工事では、既存のグラスウールを高性能グラスウールに入れ替えると、内部結露が発生する可能性があったため、既存のままとしています。(興味のある方は桑原までお問い合わせくださいませ。超マニアックなお話をさせていただきます。)

 

耐震工事のときにも出てきましたが、外壁を剥がした状態がこちらです。

当時の建築物としては、しっかり市断熱材が入っている方ですが、下の方を見ると隙間がありました!

断熱材は空気の流れを止めることにより断熱効果を発揮しますが、これでは空気が流れてしまい、断熱材本来の効果が発揮できません。(黄色い断熱材が黒く汚れているのがその証拠です。この汚れは床下の埃。断熱材が腐っているわけではありません。)

※建物診断のときに、床下から外壁の断熱材が見えるのは良くないと言ったのは、このためです。

 

そこで、空気が流れるのを防ぐため、シートで隙間を塞ぎます。(気流止め)

 

その後、新たに断熱材を敷き込みます。

ここまでが柱部分の断熱工事です。(充填断熱)

ここから付加断熱に発展していきます。

 

 

先程、耐震工事のために張った構造用合板の上に、

 

調湿気密シートを貼ります。

 

調湿シートの上に木下地を組みます。

※窓を高断熱サッシに入れ替えました。

 

※玄関ドアも寒い寒いアルミ引き戸から、断熱性能の高い開きドアに変更。

 

この上に、高性能グラスウール120ミリを敷設します。

 

その上に防水シートを張って付加断熱完了です!

 

<3. 屋根工事>

雨漏れを起こしている瓦屋根を解体し、金属屋根に葺き替えます。実はこの工事、雨漏れ対策でありながら、耐震工事も兼ねています。

瓦屋根を金属屋根に変更すると、屋根の重さは3分の1以上軽くなり、建物の重心を低くすることができます。重心が低い位置にあると地震の揺れの影響を低減できるため、結果的に耐震にもつながるということです。

 

瓦屋根を撤去します。

 

下から見ると、何だか幻想的。

 

防水のためルーフィングを敷設します。

 

その上にガルバリウム鋼板屋根を葺いて完了です!  

 

 

 

▼続きのブログはコチラ

リノベ徹底解説「稲田の家」 2

 

【くわはら】

2018.08.31

地震発生の可能性や規模を
チェックしてみましょう!

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新築のプレゼン資料を作成中です☺

それに併せて計画した建物が地震にしっかりと耐えられるのか、確認のため構造計算を行っていました。

 

構造計算とは、建築物の構造耐力上主要な部分(柱・梁・床・壁など)に、荷重(自重や積載荷重等)や外力(地震や風圧等)が作用した際に生じる応力を計算します。

その結果に基づいて構造物の安全性等を判断します。

 

もちろん構造、規模等で結果は大きく変わり毎回検討内容が変わってくるのと、チェック箇所がたくさんあるので大変です…。

ただただ強い部材をたくさん入れても、それはそれで逆にコストがかかってしまうので、経済設計もしっかり考慮しながら構造計算を行います。

試行錯誤しながら無事耐震等級3をクリアすることができました☺

 

 

ここで、誰でも地震の発生場所や可能性、規模をチェックできるサイト「地震ハザードステーション J-SHIS」をご紹介します。

こちらのサイトでは、将来日本で発生する恐れのある地震による強い揺れを予測し、予測結果を地図でチェックすることができます。

 

<地震ハザードステーション J-SHIS>

 

左上の黄色い大きなスタートのボタンを押すと…

 

上の画面が出てきます。

 

検索結果は地図で表示されるので視覚的にもわかりやすいです。

住所を入れる欄があるので、お住まいの地域の今後地震が起こる危険性などを調べることができます。

また、専門的にはなりますが主要活断層帯の位置や地盤情報なども調べることができるので、地震防災に関する基本的なデータベースとして役立てられると思います。

 

出典 : http://www.j-shis.bosai.go.jp/ (国立研究開発法人 防災科学技術研究所)

検索日 : 平成30年8月29日

 

【むらまつ】

2018.05.25

誰でもできる耐震性能チェック

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新耐震基準導入後の昭和56年6月から平成12年5月までに建てられた木造住宅を対象とした、一般社団法人 日本建築防災協会発行のリーフレット『木造住宅の耐震性能チェック(所有者等による検証)』がオススメです。

 

 

なぜ、昭和56年6月から平成12年5月までに建てられた住宅の耐震性能チェックが必要なのか。

詳しくは住まいのコラムをご覧ください☺

住まいのコラム:「今住んでいる家の耐震性能、本当に大丈夫?」

 

 

こちらのリーフレットは、専門的な知識がなくても簡単にできるチェック項目を用いて、耐震性能を確認することができます。

ご希望でしたらリーフレットを差し上げますので、お気軽にお問い合わせいただければと思います。

 

 

今の住まいや財産を守るために、耐震性能を確認しておきましょう♪

 

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▲ 『木造住宅の耐震性能チェック(所有者等による検証)』一般社団法人 日本建築防災協会発行

【むらまつ】

2017.02.07

安全で安心な暮らしを支える「金物」

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先日、炭平コーポレーション株式会社さん主催のセミナーへ行ってまいりました。

講師は、大手金物メーカである株式会社タナカさんです。

建築基準法の改正・住宅性能表示制度などにより、接合用金物や基礎用金物における強度・耐久性・機能性・施工性のさらなる向上が求められていることを踏まえ、建物の耐震性能をより良くさせるために、いかに金物が重要か、熊本地震の被害状況の写真と照らし合わせながら学習をしました。

 

ここで金物とはどんな役割を果たしているのか、簡単に説明しましょう。

 

木造住宅の場合、様々な材木を様々なサイズで組んでいきます。

2つ以上の材木同士を、直角・斜めに組み合わせ、接合する方法を「仕口」と言います。

仕口には、柱や梁などに掛かった力を適切に伝える為に、様々な仕掛けが用いられてきました。

また、長さや幅が足りない時は、水平方向に違う材木をつなぎます。そういった方法を「継手」と言います。

 

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しかし、こういった「仕口」「継手」といった構造的に弱い部分に、地震の時には力が集中する場合があります。

建物に様々な方向から力が加わり、前後左右、上下に動かされてしまい、柱などが強い上下運動により浮き上がってしまうことがあります。

その際、材木同士が外れてしまうのを防いでくれるのが「金物」です。

 

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必要な場所に、必要な量の金物を適切に取り付けすることが大事です。

耐震性についてご不安のある方は、、まずは住まいの耐震診断を行ない、その上で構造の知識に長けた信頼のある業者さんに相談しましょう☺

 

ちなみに・・・弊社にも優秀な耐震診断・耐震改修技術者や建築士が多数在籍しています!

所要時間2~3時間程度で、耐震診断を実施させていただいていますので、ご希望の方はお気軽にお問い合わせください☆

【むらまつ】

2016.04.27

耐震設計のありかた

スタッフブログ

熊本地震でまだまだ大変な避難生活を送られている皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 

被災地から離れている私たちは、直接支援に行くことが難しい状況です。そのかわり、私たちに出来ることをしっかりやっていかなければならない、と思うこの頃です。

 

今回の地震は、震度7クラスが2度も建物を揺さぶり、さらに何度も何度も大きな余震が建物を揺さぶりました。

その結果、建築基準法を守って建築されている住宅ですら大きな被害を受けました。

新聞の記事で、新築したばかりの住宅が大きな被害にあい、途方に暮れている方のインタビューを拝見しました。

 

なんで新築したばかりなのに大きく壊れてしまったのでしょう・・・。

 

そもそも、現行の建築基準法の考え方は、震度7程度の地震に倒壊・崩壊しないというものです。

これでは、命は守れるが住み続けることは難しい、という状況になってしまいます。

さらに、今回のように続けて震度7クラスの地震に遭っては、建物は耐えられません。

 

耐震基準で耐震等級というものがあります。

等級1は現行の建築基準法レベル。

等級2はその1.25倍の強さ。

等級3は同じく1.5倍の強さ。

 

等級3の家は震度7クラスの地震でも大きく損傷することはない(住み続けられる)レベルとなっています。

最近の新築では等級3を意識した設計をされるところが増えていると思いますが、まだまだ少数派ではないでしょうか。

強さが1.5倍になっても建築費が1.5倍になるわけではないので、そこには費用をかけたほうがいいと思います。

 

さらに。

 

もう耐震だけでは不十分ではないか・・・、という見方もあります。

制震や免震といった考え方です。

 

繰り返しの地震には、エネルギーを熱に変えて吸収する制震技術が有効だといわれています。

現在も耐震改修などでは使用するのですが、今後はもっと積極的に採用すべきだろうと考えています。

 

家は一生をかけて造る財産です。

大切な財産を守れるよう、建築基準法の基準も変える必要があるのではないでしょうか。

 

もし基準が変わるとしても、とても時間がかかります。

それまでは、個々の技術者が先導的に強い家を設計していく必要があるのだと思います。

 

命、財産を守るために。

 

 

 

【こじま】